子の親権問題

~子の親権問題について~ (国境を越えた子の連れ去り問題について)

 

近年、日本人と外国人との国際結婚の件数は増加しており、日米間の国際結婚の件数も例外なく増加しております。当館に提出される国際結婚の届出、日米間の夫妻の間に誕生した子供の出生届の件数も増加しております。その一方で、離婚し、米国裁判所で親権等に関する取り決めが設定されたにも関わらず、日本人の配偶者がこの裁判所の決定を無視して、もう一方の親の同意なく、子供を連れて日本に帰国してしまい問題になるケースも発生しています。離婚後の子供の親権をどう設定するのか、特に将来にわたって子どもの養育と監護をどちらが行うのか、一方の親が自分の国に子供を連れ帰った場合どのように取り扱うのかと言った問題はハーグ条約が規定しております。日本は、2014年1月に本条約の署名、締結、公布にかかる閣議決定を行うとともに、条約に署名を行った結果、日本においては、ハーグ条約は2014年4月1日に発効しました。
 

ハーグ条約

ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)とは、国境を越えた不法な子の連れ去りを防ぐことなどを目的として、1980年、ハーグ条約が採択されました(平成23年2月現在、締約国数は84箇国)。この条約の締約国は、他の締約国に不法に子を連れ去られたとの監護権者からの申立てを受けて、子が元々居住していた国に迅速に返還されるようにするための措置をとる義務を負います。親権をめぐる父母間の争い等は、子の返還後に、子が元々居住していた国の裁判所において決着することが想定されます。上記のとおり、この条約は、もう一方の親の同意を得ない等不法に連れ去られた子の返還について定めるものですから、子の居住していた国の法律、手続に従って日本に連れてきた子は、この条約の対象とはなりません。

 

外務省ホームページ:ハーグ条約

 

政府広報インターネットテレビ:ハーグ条約

 

米国における子供を連れての移動について (実子誘拐罪の適用)

米国の国内法では、父母のいずれもが親権または監護権を有する場合に、または、離婚後も子どもの親権を共同で保有する場合、一方の親が他方の親の同意を得ずに勝手に子供を連れて州外などに移動する行為は、重大な犯罪(実子誘拐罪)と見なされます。 (例えば、米国に居住する日本人の親が、他方の親の同意を得ないで子供を一方的に日本へ連れて帰ると、たとえ親権を有する親であっても米国の法律に抵触することとなり、米国に再入国した際には、犯罪被疑者として身柄を拘束される場合があり、実際に逮捕された事案も発生しています。国際結婚した後に生まれた子どもを日本に連れて帰る際には、こうした事情にも十分注意する必要があります。)

 

(注) ○ 米国: 16 歳未満の子の連れ去りの場合、罰金若しくは 3 年以下の禁固刑又はその併科を規定(連邦法Title 18 Chapter 55 Section 1204 )。 州法により異なる場合もありますので、各州による規定の詳細については、National District Attorneys Association をご参照下さい。     

 

未成年の子どもの日本国旅券の発給申請について

日本の在外公館では、未成年の旅券の申請を受ける場合、両親のいずれか一方に旅券申請書の「法定代理人署名」欄に署名していただくことになっておりますが、それは、通常一方の親の署名をもって、もう一方の親も子供の旅券の発給申請に同意していると推定されるからです。しかしながら、親権者である片方の親から旅券発給に同意しない旨の意思表示がなされた場合には、そのような推定は働かず、有効な両親の同意が存在しないことになるので、その子供への旅券発給はできないことになります。したがって、両親のいずれかから旅券発給について不同意の意思表示がなされた場合にあっては、旅券発給に反対する親がその子供の親権者であるかどうか、すなわち、子供の旅券発給にその親の同意が必要か否かを確認し、親権者であることが確認されたときは、さらに両親の意向を確認し、旅券を発給するかどうか決定することになります。そのような意向確認が必要となる場合には、基本的に、旅券申請の際にもう一方の親が作成した「旅券申請同意書」(形式自由)を用意いただくこととなりますので、ご注意ください。

 

家庭問題に関する相談はお早めに!(関係団体・相談機関の案内)

日本人の親の中には、外国人配偶者との意思疎通の困難性や価値観の相違によるストレス並びに孤立感、家庭内暴力等による精神的ダメージと暴力から逃避しようという焦燥感等により、冷静な判断が出来ないまま、子供を連れてとにかく日本に一刻も早く帰国しようと思われる方も少なくないと思います。しかしながら、上記のとおり、そのような行動が後刻、米国の法制度の規定により、多くの問題を惹起させてしまう可能性があります。当地には、家庭生活問題あるいは家庭内暴力に対する対応を行っている団体及び機関が存在し、日本語対応可能な機関もあります。御自身の大切なお子さんは、相手の方の大切なお子さんでもあります。問題の兆候が見え始めたら、下記のリンクも参考にして、早期に各種団体・機関にご相談されることをお勧めいたします。
 

【差し迫った危険を感じる場合】

・警察 911
National Domestic Violence Hotline (1-800-799-SAFE(7233),24時間利用可能) 同団体のウェブサイトの画面左上の「get help」をクリックすると、各州ごとのDVセンター連絡先やEメールアドレスにアクセス出来ます。



【日本語で利用可能な団体・機関】

WOMANKIND(元NYAWC) 1-888-888-7702(週7日24時間対応)
リトル東京サービスセンター(LTSC CDC) 1-213-473-3030(平日9:00-17:00 土日祝日休)
日系ボストニアンサポートライン(JB Line Inc.) 1-781-296-1800(週7日24時間対応)
アジア・太平洋諸島DVリソースプロジェクト(DVRP) 1-202-464-4477(平日10:00-18:00 土日祝日休)


【当館管轄5州内の法律扶助機関】

これらの機関を利用する場合には、以下の条件の何れかに該当していなければ、法律扶助サービスを受けられない規則となっていますが、家庭内暴力(DV)被害者又はその親である場合は、下記有資格外国人でなくてもサービスを受けられます。

(1) LSCが定める最高所得水準(Department of Health and Human Servicesが公表するFederal Poverty Guidelinesの125%)を超えないこと。例外的にFederal Poverty Guidelinesの125%以上200%以下の所得水準にある申込者にサービスを受ける資格があると認められる場合がある。

(2)LSCのサービスを受ける資格のある者は、米国市民或いは有資格外国人に限られる。有資格外国人とは以下の通り。

 (ア)グリーンカードを持つ者
 (イ)グリーンカードを申請中であり、その申請が却下されていない者
 (ウ)米国に合法的に滞在を認められた亡命者及び庇護を必要とする者(政治犯等)
 (エ)司法長官の本国送還命令停止により米国に合法的に滞在を認められたもの
 (オ)条件付入国者
 (カ)H-2Aビザを持つ農業労働者
 (キ)特別に一時滞在を許可された農業労働者  日本語によるサービスについては、本プログラム規則には、「英語を解さない人々に適切なサービスを確保しなければならない。」旨記載されてはいますが、実際には各事務所の規模や体制等により、右サービスを実施できない所もあるのでご注意下さい。
 

管轄5州の法律扶助機関一覧

 

【米国司法省内サイト】  

Directory of Crime Victim Services  
Office of Violence Against Women

州ごとのDV対策機関

http://www.ovw.usdoj.gov/statedomestic.htm ・DVの定義(日本と同様、身体的な暴力のみならず、精神的、性的なものも含まれます。)http://www.ovw.usdoj.gov/domviolence.htm

管轄5州の弁護士協会一覧

弁護士の検索:米国家族法弁護士アカデミー検索サイト
(地図上該当州をクリックすると、所属弁護士の情報が提示されます)
http://www.aaml.org/find-a-lawyer

 

通訳者の検索:米国翻訳者協会検索サイト
http://www.atanet.org/onlinedirectories/individuals_tabs.php

 

注2:なお、本件は一般的な情報提供として行っているもので、当館が紹介・斡旋するものではありません。

各機関への連絡・照会等は直接ご自身で行っていただくようお願いいたします。また、これら機関との

トラブル等については、当館として一切責任は負えませんので、あらかじめご了承の上、ご利用下さい。

 

【日本におけるDV定義や支援策(配偶者からの暴力被害者支援情報)】