洪水災害への対処について
平成28年8月23日
米国内ではハリケーンや集中豪雨などの影響で,度々各地で洪水が発生しています。洪水はさまざまな治水対策を講じていても,その許容量を超える降雨があれば否応なく発生する自然災害です。したがって,自分の居住する土地がどのような環境(地理的情勢)にあるのかを前もって把握しておき,平素から水害に備えておく必要があります。
また,例えば,洪水災害では自動車で避難中等に車両ごと流されて水没し死亡する人が多いなど洪水被害の傾向などについても理解しておき,洪水が発生した時に何をしなければならないか,何をしてはいけないかを正しく知ったうえで,安全対策を講じることが大切です。
本書にて,洪水災害への対処について有益と思われる情報を掲載しましたので,ご活用ください。
1.自分の住んでいる土地について調べる
FEMA(連邦緊急事態管理庁)ホームページ
「FEMA Flood Map Service Center」https://msc.fema.gov/portal
(使用方法 http://www.fema.gov/media-library/assets/documents/34930 )
を使えば,洪水が発生する可能性がある地域を確認することが可能です。
※利用規約に従って活用してください。
2.天気予報をチェックする。
NOAA(米国海洋大気庁)National Weather Service ホームページ
http://www.weather.gov
及び,自分の住む町のローカルテレビ局,ラジオを視聴して最新の情報を入手してください。
3.安全対策を講じる/発生時の対応を知っておく
NOAA(米国海洋大気庁)National Weather Service ホームページより
「Flood Safety」(http://www.floodsafety.noaa.gov/index.shtml
※仮訳を末尾に掲載しますので参考にしてください。
4.治安悪化
被災地区の治安は一般的に悪化する傾向にあります。不在宅の空き巣被害や商店からの商品の略奪などが考えられますので,貴重品は避難時に持ち出すようにしてください。
また,思わぬ事件に巻き込まれないよう夜間の行動を避けるなど自衛手段を講じてください。なお,治安機関が被災者の財産保護と犯罪行為の抑止の目的で,夜間外出禁止令(Curfew)を発令する場合があるので,その場合は命令に従ってください。
5.衛生環境の悪化
洪水で溜まった水は汚水や有毒物質などを含んでおる場合があり,周辺の衛生環境に悪影響を及ぼし得ます。
風土病の発生や蚊の大量発生とその媒介による伝染病の発生などにより,健康を害する恐れがありますので,避難先での健康管理に留意しつつ,発病に備えて救急医療機関の位置や連絡先などを把握しておいてください。
6.政府機関等の支援
災害の規模や状況に応じて,FEMAや各州緊急事態庁などの政府機関や赤十字社などの民間医療組織などが被災者の支援活動を行うので,各機関のホームページや案内を確認のうえ,必要な支援を受けてください。
【ホームページアドレス】
○連邦政府緊急態対処庁 http://www.fema.gov
○各州緊急事態庁
・ルイジアナ州 http://emergency.louisiana.gov/
・ミシシッピ州 http://www.msema.org/
・アーカンソー州 http://www.adem.arkansas.gov/AEM/index.php
・テネシー州 http://www.tnema.org/
・ケンタッキー州 http://kyem.ky.gov/Pages/default.aspx
○米国赤十字社 http://www.redcross.org/about-us/our-work/disaster-relief
7.当館連絡先
その他各種問い合わせ・ご相談は,当館まで。
在ナッシュビル日本国総領事館
住所:1801 East End Avenue, Suite 900, Nashville, TN 37203, USA
電話:615-340-4300
※ 緊急時は夜間・祝祭日も24時間日本語オペレーター対応可
※ 国外からは(国番号1)615-340-4300
FAX:615-340-4311
※ 国外からは(国番号1)615-340-4311
ホームページ:https://www.nashville.us.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
【上記3.の参考】
NOAA National Weather Service「Flood Safety」
『洪水災害への対応』(仮訳) ※ 原文は上記URLにて閲覧してください。
1.洪水が起こる前に
洪水は発生まで,数日から数週間かかるので予想が可能です。(鉄砲水は雨の兆候がなくても突然発生することがあります)。普段から洪水に備えていれば安心です。
ア)連絡手段の確保
災害時に家族と連絡が取れるよう,家族皆がコンタクトできる人を指定しておく。もしくは安全に集合できる場所を決めておく。
イ 非常用品の準備
最低でも3日分の食料,水,医薬品,電池,毛布,懐中電灯,救急セット,長靴,ゴム手袋,気象情報が聴けるラジオなどをあらかじめ準備しておく。
ウ) 危機管理
自宅,学校,職場が浸水危険箇所かどうか調べておく。また,被災時の最寄りの給水施設,高台の向かう最短経路などをチェック。
エ) 情報収集
天気予報や洪水予測サービスなどへ登録し,常時災害に関する情報が入手できる体勢を作っておく。
オ) 自宅に関する洪水対策
・ 時間に余裕があれば土のうなどを積んで水の浸入をできるだけ防ぐ。
・ 自宅の下水管の逆流防止弁が機能するか,排水ポンプが正常に作動するか,各部屋等の電気ブレーカーやヒューズが正しく表示されているかなどを点検しておく。
・ 一般的な住宅保険は洪水災害は補償していな
いので,早めに洪水保険に加入しておく。(保険会社は,加入から少なくとも30日以上経過していないと災害が発生しても保険の対象外となる。詳しくは保険会社に要確認。)
カ) 家族/ペットの準備
避難に備えて,逃げ遅れないように,家族やペットにとっての必需品は前もって準備しておくこと。
キ) 必要な電化製品の充電
携帯電話,ラジオなどを充電しておく。予備の電池を携行できるようにしておく。
ク) 退去・退避
洪水が身近に迫っている場合,避難の指示を待つことなく,自分の判断で自宅から退 去・退避する。あらかじめ避難場所を決めておく。ペットも連れて行くか,洪水の被害に遭わない施設等に預ける。
2.洪水発生中
洪水中はその水位や流水量が急激に変化する。地元のラジオやテレビを注視しておく。水位が上がり始めたら,躊躇なく直ちに避難する。
ア) 情報収集
ローカルラジオ,テレビ(NOAA Weather Radio)のモニタリング及びインターネットやソーシャルメディアからの最新情報の入手に努める。
イ) 高所へ移動
洪水の影響を受けない高いところに直ちに移動すること。
ウ) 避難命令を遵守
避難命令を受けた場合,直ちに従うこと。その際,自宅の施錠をすること。また時間に余裕があれば,電気設備や電化製品のコンセント等を抜く。
エ) 感電などの防止
電気コンセントや電気コードが水に浸かった時は,水没した地下室などには降りない。
もし,バチバチ,パーン,バチンという異音が聞こえた場合は,感電のおそれがあるので水に決して入らない。
オ) 水没の回避
・ 洪水になっている場所に入らないこと。水深6インチ(約15センチ)の流水で人は転倒してしまう。水の流れから出られなくなった時は,できる限り高い所に移動して911番に通報して救助を待つこと。
・ 車で水没している道路やバリケードで封鎖している場所を走行しないこと。見た目よりも水深が深い。また,鋭利な物,道路の崩れ,電線などの危険物が水中に隠れている。車でも水の流れに捕まったら一瞬で流されてしまう。水深12インチ(約30センチ)で普通サイズの自動車や小型SUVが流され,18インチ(約45センチ)で大型車が浮き,流される。
3.洪水の事後対応
洪水の流れが止まると,壊滅的な被害と危険が残ることになる。目に見える部分では,家屋・建物の損壊,家財等のダメージ及び道路損壊が考えられる。他方,洪水で給った水は汚水や化学物質で汚染されているほか,ガス漏れや漏電の可能性もあり危険である。
ア) 情報収集
・ ローカルニュースで道路状況をチェックすること。
・ 飲料水や料理用の水,その他生活に必要な水はペットボトルなど安全な水を使用(煮沸水などを使用するように指示が出ることもある)すること。
・ 電気やガス会社に復旧予定を確認すること。一酸化炭素中毒のおそれがあるので室内やガレージで自家発電機を発動させないこと。
イ) 洪水の溜水を避ける
洪水で溜まった水は毒物や化学物質で汚染されている恐れがある。水中に隠れている残骸で怪我をする恐れがある。道路が損壊しているなどの理由から水にはできる限り入らないこと。
ウ) 被災地区への立ち入り
レスキューや緊急活動の支障となり得るので,許可があるまで近づかないこと。
エ) 道路封鎖・警告標識に注意
安全のために道路が封鎖されていたり,進入禁止などの警告標識が立っているので,注意する。
オ) 「オールクリア」安全確認を待つ
政府などの安全確認が終わるまで被災住居などに入らないこと。洪水は建物やその土台を痛めつけているので,もし立ち入る場合は倒壊などに十分注意すること。
電気が止まっていることを確認すること,必要であれば,電気会社や電気技術者に確認依頼をすること。保険会社と連絡をとること。自家発電機を使用する場合は注意すること(参考:Generator Safety Information:
http://www.usfa.fema.gov/citizens/co/generator.shtm )
カ) 家族等との連絡
家族に自分の無事を伝え,家族の無事を確認すること。必要であれば,米国赤十字社のホームページ内の安否確認用のオンラインサイト「American Red Cross’s Safe and Well」 https://safeandwell.communityos.org/cms/index.php
などを利用する。